Contemporary Art

極小美術館

2018.10/2(tue)~ 2018.10/21(sun)

Art Exhibition 09

観覧申し込みは後楽荘または極小美術館へ 090-5853-3766
    企 画(ディレクター)
    極小美術館(長澤 知明)
    会 場
    ◆日本料理 後楽荘
    〒500-8034 岐阜県岐阜市本町1-31
    TEL・058-264-0027 FAX・058-264-2741
    ※月曜定休。昼午前11時30分〜午後14時、夕午後5時〜午後10時
    ◆長澤知明(ディレクター)アートトーク+ランチ
    10月5日(金)午前11時~/会費 2,800円
    ◆林孝子+長澤知明(ディレクター)アートトーク+会食&ミニコンサート
    10月17日(水)午後6時~/会費 10,000円
    ※お申込みは、後楽荘または極小美術館へ 090-5853-3766
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「月 待つ庭。」

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【略歴】
1986
朝日現代クラフト展
1986
高岡クラフト展
1989
日本クラフト展
1990
東海ガラス展アー ト奨励賞
1991
金沢工芸大賞コンペティション大賞
2000
個展 ※01年(八ヶ岳倶楽部)
2005
アート&茶会(大徳寺黄徳院)
2007
個展(北ビワコホテルGRAZIE·滋賀)
2008
飛騨高山現代美術展(高山)
2017
個展(極小美術館・池田町)
※その他個展・グル プ展多数
【コレクション】
1991
大皿 「遊」(金沢市美術館)
1991
オブジェ家 「帰家穏坐」(極小美術館)
1993
ガラスの庭(懐華楼・金沢市東茶屋町)
1999
光鯱 照明(相馬楼・酒田市)
2003
ガラス窓 「桜 サクラさくら」(桜保育園・大垣市)
2016
オブジェ光の塔「山地水明」(あまつち教会 ・大津市)
※開催時点

「月 待つ庭。」 後楽荘

長澤知明(極小美術館代表)

 「里山と現代美術」を飛騨高山で開催した2年後の2010年、極小美術館主催の「現代美術ゼミ」を高山アソシアリゾートで行った。彫刻家の篠田守男を囲んで、新聞社支局長夫妻らを含めて16名の参加があった。
 ニューヨークで草間彌生とオノ・ヨーコの個展が重なったこと、荒川修作、靉嘔、池田満寿夫ら、日本人作家がどんな様子であったかなど、話は深夜まで弾んだ。
 翌朝、皆で朝食をと声を掛け合ったが、林孝子はもうチェックアウトして、山梨県の清里に向かった後だった。
 確か、山道は氷が張る季節だったと思うが、ひとり、安房トンネルを抜けて展覧会の打ち合わせに出発したらしい。
70歳を超えている彼女の行動力に皆、息をのんだ。

 1937年岐阜市の老舗の商家に四人姉妹の長女として生まれた。県立加納高校を卒業後、会社を継ぐために家業に専念。結婚後は会社経営に携わっていた。
 1986年、林孝子は堰を切ったように作品を発表し始める。朝日現代クラフト展、国際ガラス展金沢、そして1991年には金沢工芸大賞展で大賞を受賞した。
 家業としてのガラスという素材が身近にありながら、50歳を前にして突然の作家活動とも思えるが、内面で長く温めていた熱い思いがあったに違いない。

 5000年前、天然ソーダを商う商人たちが、海岸で食事の用意をするために釜を掛ける石を探したがみつけられず、積荷のソーダ塊を取り出し、鍋を載せた。そのソーダ塊が熱せられ、砂浜の白砂とうまく合わさった時、見たこともない半透明の液体が何本もの筋をなして流れてきた。これがガラスの発見になったと林は語る。
 メソポタミアやエジプトが起源と言われ、人類が作り出した宝石となり、美術品として価値を見出され、やがて長い歴史の中で、建築や工業製品としても発展を遂げた。

 現代ではガラスは工業生産素材であるが、林の手によって工房から生み出される造形作品は、新たに息づき、命をよみがえさせている。
 倉庫の片隅に打ち捨てられたガラスが、しなやかな林孝子の思想と情熱で新たな可能性を探っている。
 今回は、江戸時代後期の流れをくむ老舗料亭「後楽荘」の邸内に、林孝子の魔術が適用するか、大いなる企てを試みる。