Contemporary Art

極小美術館

2010.10/17(sun)~ 2010.11/14(sun)

Art Exhibition 01

観覧申し込みは090-5853-3766まで。入場は無料
    テーマ
    ベスパ・プリマベーラと作家たち
    企 画
    極小美術館
    監 修
    篠田守男(彫刻家・筑波大学名誉教授)
    会 場
    極小美術館+フィールド
    〒503-2418
    岐阜県揖斐郡池田町草深大谷939-10
    TEL・090-5853-3766 
    ※電話にて観覧受付、入場無料

ベスパ・プリマベーラと作家たち

篠田守男 (彫刻家・筑波大学名誉教授)  

 イタリア・ミラノのドゥオーモからスカラ座に抜ける一角に赤いベスパのモニュメントがある。ブレラ美術館に向かうこの辺りはナポレオン一世の銅像を始め、名作と出会うのに事欠かない。
 1946年に登場したこのスクーターは、イタリアのオートバイ・メーカー、ピアジオが製造販売してきたが、なぜこの大衆車がモニュメントとして残されているのか、前を通る度に不思議な思いが募る。恐らく、形のシンプルさ、美しさが無条件にアートの領域に達していると認定されたのだろう。
 極小美術館にそのベスパ・プリマベーラを持ち込んで、18人の作家がどう対峙、もしくは同化するのかが今回のテーマである。

現代美術、大衆車と対峙

長澤知明 (極小美術館代表、彫刻家)

 2009年6月、ベネチア・ビエンナーレを訪れた際、サンマルコ広場の対岸に完成した現代美術館に立ち寄った。 国有の歴史的建造物「海の税関」を、外観はそのままに建築家の安藤忠雄が改修をした。
 低いエントランスからビーズの玉簾をくぐると、巨大な船底を逆さにしたような天井が現れ、随所に安藤独特のコンクリート打ちっぱなしの壁が、空間を小気味よく仕切る。
 その意匠もさることながら、施工の完成度、精緻(せいち)な美しさには目を見張るものがあった。1996年にトレビソのベネトン研修センターを建築して以来、仕事を共にしている職人力の賜物(たまもの)なのだろうが、ラテン系の陽気でアバウトな職人たちがこれほどの技術力を発揮するとは思っていなかった。
 実は彼らの表現に対するこだわりとかテクスチャーは、何千年も積み重ねてきた文明や血脈が生みだすもので、リアリスムの価値観とともに現代に息づいている。
 ミラノのドゥオーモからスカラ座に抜ける一角に赤いベスパのモニュメントがある。なぜこの大衆車がモニュメントとして残されているのか、おそらく形の強靭(きょうじん)さ、美しさが無条件にアートの領域に達していると認定されたのだろう。カラバッジョに匹敵するリアリティーをこのスクーターに感じたのかもしれない。
 極小美術館に持ち込んだベスパ・プリマベーラと18人の作家による彫刻・絵画の競演をご覧ください。

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