Contemporary Art
極小美術館
Hibana
Haruko
日花
治子
2017.7/2 (sun) 〜 2017.9/3 (sun)
espoir 21
観覧申し込みは090-5853-3766まで。入場は無料素材のもつ可能性
日花治子さんは、石鹸を素材とした作品を制作しています。石鹸といってもさまざまな色がありますが、日花さんの場合はもっぱら白い石鹸を使用しており、白が一番しっくりくるのだと語っています。実際、彼女の連なる山脈のようなイメージのインスタレーションは展覧会場に清々しい空気をもたらし、特に白という色の存在感が際立つものとなっています。彼女は石鹸を細かく砕き、それを水と一緒にミキサーにかけてドロドロにしたものを用いています。布を支持体として、そこにこのドロドロになった石鹸を塗って、成形します。
山脈を思わせるインスタレーションは、表面をあまり大きな凹凸のないように仕上げてあり、すんなりとした美しさのあるものです。しかし、日花さんはその対極にあるともいえるインスタレーションも制作しています。ランダムに垂れ下がる布に石鹸を塗った作品は、ドロドロになった石鹸の素材感もそのままに、なにか激しい感情の表出を思わせます。このように、山脈状の作品にみられる理知的・理性的側面と垂れ下がる布の作品にみられる感情的・表現主義的側面は、作家の中に内在する振幅をよく表しているように思います。彼女の作品において石鹸という素材はこの二つの側面の両方を効果的に表現し得ているのであり、それは、石鹸という素材のもつ可能性の広がりをも示唆しているようです。
日花さんは、京都で大学生活を送り、その後金沢の大学院で学びました。京都での卒業制作の際には土を素材とした作品を制作し、金沢では蜜蝋や銅など様々な素材を試してみたといいます。その後、石鹸という素材に辿り着いたわけですが、彼女は、石鹸という素材の魅力は、使うとなくなる儚さ、そしてそれに相反する強さであり、変形するという自由さであり、香りが残るという気配であるといいます。彼女の作品を通じて、身近な生活道具でもある石鹸の性質は美術作品になり得る魅力を備えたものだということに、改めて気付かされるのです。
一の煌めき
H1000 × W2000 × D700㎜ 石鹸・布・他
一の煌めき(2011年制作)
scenery(2013年制作)
scenery(2015年制作)
日花治子
- 【略歴】
- 1984
- 滋賀県生まれ
- 2007
- 京都造形芸術大学美術工芸学科彫刻コース 卒業
- 2009
- 金沢美術工芸大学美術工芸研究科彫刻専攻 修了
- 【個展】
- 2006
- 日花治子展~同じ土の上で~(ギャラリーマロニエ・京都)
- 2008
- 日花治子展「光芒」(木彫りの町 井波 匠雲堂・富山)
- 2011
- 日花治子展「一の煌めき」(ギャラリーすずき・京都)
- 2012
- 日花治子展 -連なりの景色-(中和ギャラリー・東京)
- 2012
- 日花治子展(愛知川駅ギャラリー・滋賀)
- 2013
- 日花治子展 -scenery- (ギャラリーすずき・京都)
- 2013
- 日花治子個展 -連なる景色 連なる想い- (ガーデンミュージアム比叡 ギャラリーsoRa・京都)
- 2015
- 日花治子展 -scenery- (ギャラリーすずき・京都)
- 【グループ展等】
- 2009
- 金沢美術工芸大学大学院修了制作展(金沢21世紀美術館・石川)
- 2010
- CAF.Nびわこ展(大津市歴史博物館・滋賀)※~17年
- 2011
- ハンガリー・日本交流展 “WATER”(A38Gallery・ハンガリー ブダペスト)
- 2011
- 立体造形2011(ART FORUM JARFO・京都)
- 2011
- 2011日・韓現代美術交流展(クムサンギャラリー・ヘイリ芸術村・韓国)
- 2012
- ハンガリー・日本 現代美術展2012(GALLERY北野坂・兵庫)
- 2012
- 第5回柏原ビエンナーレ(柏原市内瀬川産業倉庫・大阪)
- 2012
- 立体造形2012(ギャラリーアーティスロング・京都)※12、13、14年
- 2013
- 日吉大社芸術祭 杜の美術館(山王総本宮日吉大社・滋賀)
- 2013
- U.S.E6(ギャラリーマロニエ・京都)※13、14年
- 2013
- 風と土の交藝in琵琶湖高島2013(高島市内アトリエ・滋賀)※13、14年
- 2014
- 丹波篠山・まちなみアートフェスティバル2014(篠山市「河原町妻入商家群」・兵庫)※14、16年
- 2015
- 現代美術彫刻展2015(ギャラリーアーティスロング・京都)
- 2016
- 池田山麓現代美術展2016「宇宙の連環として」(極小美術館・岐阜)
- 2016
- 美飾會 (ギャラリーなかむら・京都)
- 【その他】
- 2007
- 京都造形芸術大学卒業制作展学長賞 受賞
- 2012
- 第66回滋賀県美術展覧会 特選 滋賀県美術協会理事長賞 滋賀県造形集団奨励賞
- ※開催時点