Contemporary Art

極小美術館

2016.4/3(sun)~ 2016.6/19(sun)

No.20

観覧申し込みは090-5853-3766まで。入場は無料

美しい量感

高北幸矢(清須市はるひ美術館館長)

 私のアトリエに、サムホールサイズの大塚豊子小品が飾ってある。桜色と臙脂色の濃淡で、勢いのあるタッチで描かれている。上辺から下辺の真ん中に向けて集合し落下する様に、あるいは下辺から竜巻の如く上昇する様にも見える。あるときは、女性のデルタゾーンにも見え、また力強く咲く花にも見える。
 ギャラリーの企画展で、100点以上もあるミニアチュール作品が並ぶ中、一周する間もなく「手元に置きたい」と思った。私は創作の場であるアトリエに自分の作品を飾ることはしない。自分の作品は全て過去のものであり、創作は未来のための時間だ。刺激を求めて気に入った自分以外の作品を飾る。空間のイメージを占拠しないことに気をつけている。
 小品はキャンバス裏面にuntitledと示されており、作品の解釈は観る者に委ねられている。それが私にとっては心地よい。自らの作品制作に疲れたとき、untitledはイメージを広げてくれて創造の翼を与えてくれる。
 大塚のこれまでの作品を収めたポートフォリオからは、多様な造形要素を観ることができる。どこかの漁村の風景、雲海に浮かぶ原始生命体、内なる身体宇宙に咲く水中花、壮大な基地かと思えば、洋服の小さな沁みのようにも見えるものもある。
 しかし一貫して言えることは、美しい量感である。モチーフに執着しながらも、そこに留まることにこだわりはなさそうだ。むしろモチーフが造り出す空間を描きたいのではないかとさえ思える。それらは主客一体のものであり、強いメッセージを放つモチーフと絵画としての存在感を満たそうとする空間が共鳴しあっているのだ。美しい量感は、この共鳴が造り出しているものだ。ベースになっている大塚のこだわりであり、表現力の成せる技と言えるだろう。
 この度の極小美術館での個展では油彩が中心であるとのことで、私のアトリエからイメージの翼を拡げてくれる秀逸な展覧会になると楽しみにしている。

1455 × 1120㎜ 油彩(2016年)

1160 × 1160㎜(2015年)

DMイメージ

990 × 990㎜(2014年)

DMイメージ

990 × 990㎜(2014年)

DMイメージ

990 × 990㎜(2013年)

DMイメージ

990 × 990㎜(2013年)

DMイメージ

990 × 990㎜(2013年)

DMイメージ

990 × 990㎜(2013年)

DMイメージ

990 × 990㎜(2013年)

DMイメージ

990 × 990㎜(2013年)

DMイメージ

990 × 990㎜(2013年)

DMイメージ

1160 × 1160㎜(2012年)

(2011年)

(2011年)

大塚豊子

【略歴】
1955
岐阜県大垣市生まれ
1979
愛知県立芸術大学油画科卒業
1981
同大学院修了
【展覧会】
1978
ヴォラン展(82年まで) ギャラリー・はくぜん,タケガ (名古屋)
1982
杼の会(84年まで) ギャラリー・デコール (東京)
1983
個展 ギャラリー・ラブ・コレクション (名古屋)
1984
伊藤廉記念賞展
1985
名爽会展(90年まで) 名古屋画廊
1986
二人展 ギャラリー・手 (東京)
1991
アッサイ展 岐阜県美術館
1991
愛窓会展(95年まで) 宮下画廊 (東京)
1998
SOW展(00年) 岐阜県美術館
2002
5Works展(04、06、08、11、14年) 名古屋市市政資料館
2011
宇宙の連環として 《気配》 極小美術館 (岐阜)
2012
象の檻 極小美術館 (岐阜)
2012
春艸会展(13、14、15年) 愛知県美術館,セントラル・アートギャラリー (名古屋)
2015
名芳洞秀作展 名芳洞 (名古屋)
※開催時点