Contemporary Art
極小美術館
【池田山麓現代美術展2016】Contemporary Art Ikeda Sanroku 2016
宇宙の連環として
2016.1/24(sun)~ 2016.3/20(sun)
Art Exhibition 06
観覧申し込みは090-5853-3766まで。入場は無料- テーマ
- 宇宙の連環として2016
- 企画・監修
- 極小美術館
- 会 場
- 極小美術館
〒503-2418
岐阜県揖斐郡池田町草深大谷939-10
TEL・090-5853-3766 ※電話にて観覧受付、入場無料
《展評》
皆様は極小美術館をご存知でしょうか。力のある地元作家や有望な若手に発表の場を提供し育てていこうという意志のもと、大垣の彫刻家・長澤知明さんが自費と地元企業の寄付金で運営している施設美術館です。建物は池田山の麓に建つ一軒家を改装したもの。入館は無料ですが事前予約が必要です。美術館としては小さいかもしれませんが、2009年の開館時には「荒川修作展」、それ以降も「保田春彦展」、「河口龍夫展」といった日本を代表する現代美術家の表現を、地方で間近に見られる機会を提供してきました。
極小美術館の企画は年に4本、通常は1階でベテランまたは中堅の作家、3階で若手の作家の個展が同時に開催されています。今回の「池田山麓現代美術展2016」には、過去に極小美術館で展示をしたことのある作家、および長澤さんの目にとまった若手作家の中から、彫刻家・篠田守男さんと保田さんが絞り込んだ21名が参加。河口さんや長澤さん自身も出品しましたが、作家のキャリアによる優遇はなく、様々なジャンルの作品が同列に並び、各々の個性がぶつかり合っているような展示が特徴的でした。それによって見えてくるのは単に優劣だけではありません。印象深かったのは、篠田さんと河邉ありささんの彫刻。篠田さんは、銀色のアタッシュケースの内側にワイヤーを電子回路のように張り巡らせ、その張力で金属カプセルを中空に浮かせた、箱庭的「テンション彫刻」を出品。若手の河邉さんは、赤子不在のおくるみや蛹の抜け殻を連想させるバイオモルフィックな形態を一木から彫り上げ、中空に浮くよう鉄枠に吊るしました。吊るす・浮かせるという手法は同じながら、前者は力学や現象そのものの美質を引き出して見せ、後者は幽霊のような存在感、現実と非現実の中間領域を演出してみせました。世代が違えば、感心の所在も違います。
おそらく極小美術館は、地方と中央の隔たりや世代の差といった幾つかの距離の問題を意識しながら活動を続けてきました。今回の「宇宙の連環として」というテーマを、私自身は視野の拡大と無限の想像力の暗示と受けとめています。(nori)
篠田守男
BX3000テンション&コンプレッション330
(1999年)
河邉ありさ
あなたの輪郭は日に日に曖昧になっていった
ーおくるみー (2015年)
(名古屋市美術館 2016年4月1日)
《 作家一覧 順不同、略歴は開催時点 》
- 保田 春彦
- 東京美術学校卒業後パリに留学。神戸彫刻ビエンナーレで大賞。サンパウロビエンナーレ、ヘンリームーア大賞展で受賞。中原悌二郎賞、平櫛田中賞を受賞。神奈川県立近代美術館等で個展。
- 篠田 守男
- カルフォルニア大学、コロラド大学、筑波大学、金沢美工大・大学院で教授。高村光太郎賞。宇部彫刻ビエンナーレ、彫刻の森美術館大賞展、中原悌二郎賞等で受賞。朝倉文夫賞受賞。
- 河口 龍夫
- 筑波大学名誉教授。文化庁の派遣で欧米に滞在。水戸芸術館、京都市美術館、名古屋市美術館などて作品を発表。東京国立近代美術館で個展を開催。現在、金沢美術工芸大学大学院教授。
- 島 眞一
- 武蔵野美術大学卒業。彫刻科助手を経てマドリッドに留学。スペイン各地で個展を開催。14年のマドリッド滞在を終え帰国。日本橋画廊等で作品を発表。武蔵野美術大学教授在任中、逝去。
- 安斎 重男
- ヨーゼフ・ボイスやイサム・ノグチなど数多くの芸術家の肖像を記録し、写真を通して見つめた現代美術は国際的にも定評がある。国立国際美術館で大規模な個展を開催した。
- 花田 勝太郎
- 武蔵野美術大学卒。日本国際美術展 エンバ美術展で大賞、優秀賞などを受賞。天理ビエンナーレで大賞。現代美術の視点、個展など出品多数。
- 堀江 良一
- 東京芸大油画卒業。クラコウ国際版画ビエンナーレ、高知国際版画トリエンナーレ、日本の木版画100年展などに出品。積極的に作家活動を継続。
- 長澤 知明
- 東京芸大大学院修了。現代日本美術展、日本国際美術展、宇部彫刻ビエンナーレ、中之条ビエンナーレなどに出品。桜画廊で個展を重ねる。富山トリエンナーレで優秀賞受賞。
- 佐藤 昌宏
- 東京芸術大学大学院修了。浅井忠記念展、安井賞展などに出品。伊藤廉記念賞を受賞するなど個展・グループ展を中心に発表。極小美術館で個展。国立岐阜大学教授。
- 稲葉 佳子
- 愛知県立芸術大学卒業。マドリッド滞在後、帰国。名古屋、京都、東京などでグループ展。オーストラリア巡回展。三岸節子美術館で個展を開催。活発に発表を続ける。
- 中風 明世
- 武蔵野美術大学を卒業後、モダンアート展で新人賞受賞。以後、受賞を重ね、グループ展などに出品。毎年、東京での発表を継続している。2015篠田守男と二人展開催。
- 増川 寿一
- 東京芸大大学院修了。秋山画廊、ときわ画廊などで個展を重ねる。久米桂一郎賞(東京芸術大学)、武蔵野美術大賞展で準大賞。「象の檻」展などグループ展での発表も多い。
- 西村 浩幸
- 東京芸術大学卒業。安宅賞受賞。東京を中心に数々の個展・グループ展に出品。鹿島彫刻コンクール銀賞、大分アジア展大賞などを受賞。関口美術館に収蔵。
- 伊藤 幸生
- 武蔵野美術大学卒業。岐阜(スイトピアセンター)、名古屋、東京(ギャラリー椿)などで個展を開催。伊藤簾記念大賞展、独立美術協会展で作品を発表。三法荘大賞展で特別賞。
- 二村 元子
- 岐阜大学大学院修了。名古屋、岐阜で個展を開催。岐阜・内モンゴル美術展など多数のグループ展に出品。中之条ビエンナーレ2015に出品。
- 清河 北斗
- 東京などで現代美術制作活動を経て、2015年発電所美術館開館20周年記念で個展を開催。高い評価を得た新進気鋭の立体造形作家の一人である。
- 宮川 友子
- 愛知県立芸大・大学院修了。ワルシャワのポスターコンペで受賞。モスクワ、テヘランなどデザインビエンナーレに出品。イタリア、フランスなどで作品発表。極小美術館で個展開催。
- 福村 春奈
- 多摩美術大学油画専攻大学院修了。ターナーギャラリー(東京)で企画展。ギャラリーパスワード(岐阜)でグループ展。相模原市民ギャラリーで個展。極小美術館で個展。
- 日花 治子
- 金沢美術工芸大学大学院修了。京都(ギャラリーすずき)、富山、滋賀、東京などで個展を開催。日韓現代美術交流展などクループ展の出品も数多い。
- 河邉 ありさ
- 日本大学芸術学部大学院修了。ギャラリーK(東京)で個展。越後妻有トリエンナーレ(共同制作として参加)、東京、横浜、などでグループ展。亀山トリエンナーレ2014に出品。
- 矢橋 頌太郎
- 武蔵野美術大学卒業。現代美術の新世代展2012で優秀賞。リアリズムの深層展。2014年初個展(極小美術館)、ギャラリーうちやま(東京)で個展。富山トリエンナーレで優秀賞。