Contemporary Art
極小美術館
Hayashi
Takako
林
孝子
2017.10/8 (sun) 〜 2017.12/3 (sun)
espoir 22
観覧申し込みは090-5853-3766まで。入場は無料しなやかに生きる
「里山と現代美術」を飛騨高山で開催した2年後の2010年、極小美術館主催の「現代美術ゼミ」を高山アソシアリゾートで行った。彫刻家の篠田守男を囲んで、新聞社支局長夫妻らを含めて16名の参加があった。
ニューヨークで草間弥生とオノ・ヨーコの個展が重なったこと、荒川修作、靉嘔、池田満寿夫ら、日本人作家がどんな様子であったかなど、話は深夜まで弾んだ。
翌朝、皆で朝食をと声を掛け合ったが、林孝子はもうチェックアウトして、山梨県の清里に向かった後だった。
確か、山道は氷が張る季節だったと思うが、ひとり、安房トンネルを抜けて展覧会の打ち合わせに出発したらしい。
70歳を超えている彼女の行動力に皆、息をのんだ。
1937年岐阜市の老舗の商家に4人姉妹の長女として生まれた。県立加納高校を卒業後、会社を継ぐために家業に専念。結婚後は会社経営に携わっていた。
1986年、林孝子は堰を切ったように作品を発表し始める。朝日現代クラフト展、国際ガラス展金沢、そして1991年には、金沢工芸大賞展で大賞を受賞した。
家業としてのガラスという素材が身近にありながら、50歳を前にして突然の作家活動とも思えるが、内面で長く温めていた熱い思いがあったに違いない。
5000年前、天然ソーダを商う商人たちが、海岸で食事の用意をするために、釜を掛ける石を探したが見つけられず、積荷のソーダ塊を取り出し、鍋を載せた。
そのソーダ塊が熱せられ、砂浜の白砂とうまく合わさった時、見たこともない半透明の液体が何本もの筋をなし流れてきた。これがガラスの発見になったと林は語る。
メソポタミアやエジプトが起源と言われ、人類が作り出した宝石となり、美術品として価値を見出され、やがて長い歴史の中で、建築や工業製品としても発展を遂げた。
現代ではガラスは工業生産素材であるが、林の手によって工房から生み出される造形作品は、新たに息づき、命をよみがえさせている。
倉庫の片隅に打ち捨てられたガラスが、しなやかな林孝子の思想と情熱で新たなアートの可能性を探っている。
「帰家隠坐(きかおんざ)」
120 × 150 × 110㎜ 板ガラス(2011年制作)
無題(2017年制作)
無題(2017年制作)
林孝子
- 【略歴】
- 1985
- 建築用板ガラスを素材として制作を始める
- 1986
- 朝日現代クラフト展入選
- 1986
- 高岡クラフト展入選
- 1987
- 全国発明コンクール入選
- 1989
- 日本クラフト展入選
- 1990
- 国際ガラス展金沢入選
- 1990
- 東海ガラス展アート 奨励賞
- 1991
- 金沢工芸大賞コンペティション大賞
- 1994
- 安達流月刊誌(東京)「“花芸”ガラスの文化」投稿 ※~01年連載
- 1994
- 岐阜新聞「素描」投稿
- 2007
- 新日本工芸展入選
- 2010
- Glass Craft Triennaie 入選
- 【個展・グループ展】
- 1986
- ステンドガラス展 (丸善・名古屋)
- 1987
- 京都工芸ガラス展 (京都府)
- 1989
- 個展 (ギャラリー円居・一宮)
- 1990
- グループ展 (ギャラリー栗本・名古屋)
- 1990
- 個展 ※~02年 (ロゼ画廊・岐阜)
- 1991
- 個展 ※91、93、09年 (由美画廊・浜松)
- 1991
- Gerum展、平和展 ※91、93、94、96〜98、00年 (岐阜県美術館)
- 1993
- 個展 ※93年 (ギャラリー幹・岡山)
- 1994
- 個展 ※94年 (ギャラリー栗本・名古屋)
- 1995
- 一宮市街はアートであふれる ※96年
- 2000
- 個展 ※01年 (八ヶ岳倶楽部)
- 2001
- 個展 (アトリエMOVE・横浜)
- 2003
- 個展 ※~13年 (ギャラリーアリア・岐阜)
- 2005
- アート&茶会 (大徳寺黄梅院)
- 2006
- グループ展 ※10年 (八ヶ岳倶楽部)
- 2007
- 個展 (北ビワコホテル GRAZIE・滋賀)
- 2008
- 個展 (乾ギャラリー・東京)
- 2008
- 飛騨高山現代美術展 (高山)
- 2009
- クラフトデザイナー中部 ※~17年
- 2010
- ベスパ・プリマベーラと作家たち (極小美術館・池田町)
- 2012
- 象の檻 (極小美術館・池田町)
- 2012
- 個展 ※~17年 (ノリタケの森ギャラリー・名古屋)
- 2015
- 個展 ※16年 (石原美術・岐阜)
- 【コレクション】
- 1991
- 大皿 「遊」 (金沢市美術館)
- 1991
- オブジェ 家 「帰家穏坐」 (極小美術館)
- 1992
- 階段室パネル 「悠久」 (岐南中学校・岐南町)
- 1993
- 欄間間仕切りパネル 「飛翔」 (加納斎場・岐阜市)
- 1993
- ガラスの庭 (懐華楼・金沢市東茶屋町)
- 1999
- 光鯱 照明 (相馬楼・酒田市)
- 2002
- 階段パネル 「宇宙」、ドアーガラス 「蛍.水仙.梅」 (安八学習センター・大垣市)
- 2003
- ガラス窓 「桜.サクラ.さくら」 (桜保育園・大垣市)
- 2016
- オブジェ 光の塔 「山地水明」 (あまつち教会・大津市)
- ※開催時点